「勤続5年以上のエースが、突然辞めると言い出した…」そんな経験はありませんか?中堅社員の退職は、単なる人手不足ではなく、実質300万〜500万円の損失を生む経営危機です。
しかも、退職者の54%は「本当の理由」を口にせず去っていきます。この記事では、中堅社員が本音を隠して辞めていく構造的な理由と、採用マーケティングの視点で中小企業が取り組むべき「定着のための組織づくり」を、データと具体的な3つの施策で解説します。
人が採れない時代を勝ち抜く組織の考え方を、ここで整理していきましょう。
目次
監修者

株式会社Revive代表
熊野拓人
21歳で起業後、営業支援・採用支援事業を展開。
伴走型採用支援サービス「あたりまえリクルーティング」を立ち上げ、これまで250社以上の採用支援に携わる。
2024年にはカーブアウトM&A(事業売却)を実施。現在は従業員1,000名規模の派遣会社にて経営企画部長・総務部長を兼任し、採用・組織づくり・人事制度設計を推進している。
採用支援会社としての現場経験と、事業会社の責任者としての実務経験の両面から、多くの成功と失敗を見てきた稀有なキャリアを持つ。
企業と個人がお互いを理解し、より良い出会いを実現する採用の在り方を追求している。

株式会社Revive代表
熊野拓人
21歳で起業後、営業支援・採用支援事業を展開。
伴走型採用支援サービス「あたりまえリクルーティング」を立ち上げ、これまで250社以上の採用支援に携わる。
2024年にはカーブアウトM&A(事業売却)を実施。現在は従業員1,000名規模の派遣会社にて経営企画部長・総務部長を兼任し、採用・組織づくり・人事制度設計を推進している。
採用支援会社としての現場経験と、事業会社の責任者としての実務経験の両面から、多くの成功と失敗を見てきた稀有なキャリアを持つ。
企業と個人がお互いを理解し、より良い出会いを実現する採用の在り方を追求している。
中堅社員の退職が中小企業に与える深刻なダメージとは

「最近、うちの30代のエースが辞めると言い出して…」
経営者や人事の方から、こうした切実な相談を受ける機会が本当に増えています。新人教育もひと通り終わり、現場を任せてきた中核メンバーが突然離れていく。中小企業にとって、単なる「メンバーが1人減った」で済ませられる話ではありません。
売り手市場が続く今、求人を出せば人が集まる時代はとうに過去のもの。だからこそ「入社してもらうこと」以上に、「今いる社員に長く活躍してもらうこと」への向き合い方が問われます。まずは中堅社員の退職が組織にどれほどの打撃を与えるのか、数字とコストの両面から確認してみましょう。
中堅社員が抜けた穴が「モチベーションとナレッジ」を奪う
中堅社員が抜けた穴は、業務量以上に「モチベーションとナレッジの喪失」として組織に響きます。
マイナビの調査によると、退職者がいた企業の81.9%で勤続5年以上の中堅社員が退職しています。さらに、そのうち約69%が「業務や経営に影響を与えた」と回答しているのです。(引用:中途採用状況調査2026年版(2025年実績)| マイナビキャリアリサーチLab)数字が示す通り、中堅の離脱は決して珍しい出来事ではありません。
現場を思い浮かべてみてください。抜けた穴を埋めるために残されたメンバーの負担が跳ね上がり、組織全体のモチベーションが落ちていく。加えて、顧客との深い関係性やマニュアル化されていない「職人技のようなナレッジ」まで一緒に失われます。
中堅社員の退職とは、組織の「質」そのものが静かに目減りしていく現象なのです。
中堅社員退職の本当の損失は求人広告費の3〜5倍になる
「まあ、中堅が辞めても、新しく1人採用すればいいか。採用コストは100万円くらいだろう」
こう考えているなら、その認識は非常に危険です。中堅社員の退職で発生する実質損失は、求人広告費の3〜5倍にふくらむからです。
たしかに、中堅社員1人を採用するための広告費やエージェント費用は、平均で93万〜103万円にとどまります。しかし、本当に恐ろしいのはその裏側で積み上がる目に見えないコストです。
具体的には、退職から次の人が入るまでの業務停滞、残された社員の残業代、引き継ぎに割かれる時間。さらに、新しい人が前任者と同じレベルで動けるようになるまでの教育コストが重くのしかかります。
これらをすべて試算すると、実質的な損失は300万〜500万円に達するといわれています。
汗水垂らして売上をつくる経営者として、この金額を「しょうがない」で片付けるわけにはいかないはずです。
「本当の理由」は言わない。データから紐解く中堅社員の本音

「一身上の都合」の裏には、必ず言葉にされない本音があります。
退職届を出すとき、多くの社員は「一身上の都合で」「家庭の事情で」と、波風を立てない理由を口にします。実際、退職経験者の54%が「会社に本当の理由を伝えていない」と答えているのが現実です。
(引用:「本当の退職理由」調査(2024)| エン・ジャパン株式会社)
経営陣が耳にする退職理由は、半分以上が“建前”だと考えたほうが正確でしょう。
多くの現場を見てきた私たちの実感では、彼らが抱える悩みは非常に現実的で、かつ組織の構造的な問題と地続きです。ここでは、中堅社員が口に出さない「3つの本音」を順に解き明かしていきます。
本音①|キャリアの停滞と、責任だけが重くなる給与への不満
1つ目の本音は、キャリアの伸び悩みと、責任だけが重くなる給与への不満です。
30代前後になると、結婚や出産、マイホームの購入など、ライフステージが一気に変わります。「仕事が楽しいから」「社長が好きだから」と勢いで走ってきた若手も、この時期から現実的な将来を見据え始めるのです。
「今の評価制度、ちょっと曖昧だな…」「責任ばかり重くなって、給料は全然上がらないな…」
こうした不安がよぎったとき、評価基準がブラックボックス化している組織では、優秀な人ほど「このままこの船に乗っていていいのか」と静かに転職市場を意識し始めます。
責任と給与のバランスが崩れた瞬間、彼らのキャリアの軸足は、すでに社外へ動き始めているのです。
本音②|活躍の場が与えられず、成長実感を持てない
2つ目の本音は、活躍の場が与えられず、成長実感を持てないことへの限界です。
中小企業の経営者に多いのが、「自分が一番現場を知っている」「自分が決めた方が早い」というスタンスです。そのまま、あらゆる意思決定を握り続けてしまうケースが少なくありません。創業期には大きな強みですが、組織が育ってきたフェーズでは、逆に中堅社員の伸びしろを押さえつけてしまいます。
経験を積んだ中堅は、「もっと自分の裁量で動かしたい」「責任あるポジションに挑戦したい」という健全な欲求を持っています。それなのに、上司や社長がいつまでもマイクロマネジメントを続け、権限を移譲しない。結果として、彼らは「ここではこれ以上成長できない」「都合のいい作業員で終わってしまう」と静かに消耗していきます。
成長実感が持てない環境では、優秀な中堅ほど「活躍できる場」を求めて外へ出ていくのです。
本音③|不満を伝える前に、すでに次の内定を持っている
「えっ、あいつが?そんな素振り、全然見せなかったのに…」
3つ目の本音は、辞める意思を口に出す時点で、すでに次の内定を持っているという事実です。ある日突然、エース社員から会議室に呼び出されて退職を告げられる。このパターンの厄介さは、彼らが「辞めると決めてからの行動が圧倒的に早い」点にあります。
中堅社員は、自分の市場価値を冷静に把握しています。「今の年齢を逃したら次はない」と自覚しているからです。会社に不満をぶつけて改善を待つのではなく、水面下で転職活動を終わらせ、内定を手にしてから報告に来ます。
退職の意向を聞いた瞬間には、すでに引き止めが不可能な状態になっています。だからこそ、日頃から彼らが発している小さな「離職サイン」を見逃さない、組織のアンテナが求められます。
中堅社員の定着率を上げる、中小企業がやるべき3つの施策

私たちは、常々「採用=マーケティング活動」だとお伝えしています。マーケティングの世界で、既存顧客の維持を軽視して新規獲得ばかりに予算を投じるのは、底の抜けたバケツに水を注ぐようなもの。採用もまったく同じ構造を持っています。
新しい人を採用するために100万円を使う前に、いま必死に会社を支えてくれている中堅社員の待遇や、働く環境、組織の仕組みへその投資を回すべきではないでしょうか。ここからは、中堅社員の定着率を本気で上げるための「3つの施策」を具体的に紹介していきます。
施策①|評価しない「本音面談」で帰属意識を育てる
1つ目の施策は、評価から完全に切り離した「本音面談」を仕組みとして定着させることです。
定着率を本気で上げたい経営者や人事の方に、まずおすすめしているのが「本音面談」の実施です。頻度は、半年に1回、最低でも年に1回が目安になります。ポイントは、評価面談と本音面談を完全に分けることにあります。
- 評価面談:目標の達成度や、給与・昇給を決めるための硬い場。社員は自分の弱みや不満を口にしにくい。
- 本音面談:「最近、ぶっちゃけ仕事どう?」から始まるカジュアルな場。将来やってみたいことや業務のボトルネック、組織への違和感をオープンに話してもらう。
ここで大切なのは、経営者や人事が「評価しないこと」です。相手の言い分にひたすら耳を傾け、何に困っているのかを徹底的に引き出す姿勢が求められます。
「自分の話をちゃんと聞いてもらえている」という安心感こそが、中堅社員の帰属意識の土台になるのです。
施策②|3年後・5年後のキャリアパスを社内で可視化する
2つ目の施策は、社員一人ひとりの「3年後・5年後のキャリアパス」を社内で可視化することです。
多くの中小企業は、1年後の会社目標は明確に語れても、社員個人のキャリアビジョンを提示できていません。「3年後、5年後にどんな仕事に就けるのか」が見えない会社では、優秀な人ほど外の世界に答えを求めます。
「この会社で成果を出したら、次は何になれるのか」
「マネジメントの道しかないのか、それとも専門職としてのルートもあるのか」
こうした問いに、具体的な選択肢で答えられる会社かどうかが問われます。ポジションの候補だけでなく、必要なスキル、経験できるプロジェクト、想定される給与レンジまで示せると理想的です。
未来の選択肢が社内に描かれていれば、社員はわざわざリスクを冒して転職市場に答えを探しに行く必要がなくなります。
施策③|採用は「入口」だけでなく「定着」までを設計する
3つ目の施策は、採用を「入口」だけでなく「定着」までを含めた一連のプロセスとして設計することです。
今の時代の採用は、求人広告の文面を綺麗にするだけでは成立しません。採用マーケティングは、次の4段階で成り立っています。
- 情報設計:会社の魅力を、届けたい人に正しく届ける
- 応募導線:応募までの動線をスムーズに整える
- 面接設計:お互いのカルチャーマッチを確かめる
- 定着設計:入社後に組織へしっかり馴染んでもらう
どれだけ入口を整えても、定着設計という「出口」が壊れていれば、水漏れは止まりません。
中堅社員が1人辞めるたびに、300万〜500万円の損失を垂れ流し続けることになります。だからこそ、定着まで含めた設計こそが、採用マーケティングの成否を左右するのです。
採用と定着を「会社づくり」として設計し直そう
中堅社員が辞めていくのは、彼らの根気が足りないからでも、若者気質のせいでもありません。評価制度、権限移譲の仕組み、経営陣の投資姿勢といった「組織の歪み」が、退職というわかりやすいサインとして表れているだけです。
人が辞めるたびに求人媒体へ大金を払い続けるループから、そろそろ抜け出しませんか。いま会社を支える大切な社員が、5年後・10年後にも「この会社で働けてよかった」と思える組織のインフラを整えること。それが結果として最強の採用ブランディングとなり、採用マーケティングそのものに繋がっていきます。
今日から、採用と定着を一つの「会社づくり」として設計し直しましょう。
【経営者・人事責任者の方へ】
「求人を出しても人が採れない」「せっかく育った中堅が辞めてしまう」。そんな状況にお心当たりはありませんか?
私たちReviveは、単なる求人広告の代行ではなく、御社の「魅力設計」から「定着の仕組み化」まで一気通貫で伴走する採用マーケティングのプロ集団です。
まずは、貴社の組織の現状を丁寧に診断する「無料採用・組織相談会」を実施中。底の抜けたバケツに水を注ぐ採用を終わりにするために、お気軽にご相談ください。

