HR Report

新卒採用の早期化に負けない|中小企業の採用スケジュールと前倒し採用マーケティング

「今年もそろそろ3月だから、ナビサイトを開放しよう」。そう考えている経営者や人事担当者は少なくありません。

しかし、その感覚のままでは中小企業の新卒採用は苦しくなる一方です。27卒の内定率は3月末で6割を超え、解禁日には勝負がほぼ決まっています。「なぜうちには学生が集まらないのか」と悩むなら、原因は魅力ではなくスケジュールにあります。

この記事では、早期化が進んだ理由、中小企業がやりがちな3つの勘違い、そして予算をかけずに28卒で逆転する前倒し採用マーケティングの手順を紹介します。まだ間に合う打ち手を、一緒に見ていきましょう。

監修者

株式会社Revive代表
熊野拓人

21歳で起業後、営業支援・採用支援事業を展開。

伴走型採用支援サービス「あたりまえリクルーティング」を立ち上げ、これまで250社以上の採用支援に携わる。

2024年にはカーブアウトM&A(事業売却)を実施。現在は従業員1,000名規模の派遣会社にて経営企画部長・総務部長を兼任し、採用・組織づくり・人事制度設計を推進している。

採用支援会社としての現場経験と、事業会社の責任者としての実務経験の両面から、多くの成功と失敗を見てきた稀有なキャリアを持つ。

企業と個人がお互いを理解し、より良い出会いを実現する採用の在り方を追求している。

株式会社Revive代表
熊野拓人

21歳で起業後、営業支援・採用支援事業を展開。

伴走型採用支援サービス「あたりまえリクルーティング」を立ち上げ、これまで250社以上の採用支援に携わる。

2024年にはカーブアウトM&A(事業売却)を実施。現在は従業員1,000名規模の派遣会社にて経営企画部長・総務部長を兼任し、採用・組織づくり・人事制度設計を推進している。

採用支援会社としての現場経験と、事業会社の責任者としての実務経験の両面から、多くの成功と失敗を見てきた稀有なキャリアを持つ。

企業と個人がお互いを理解し、より良い出会いを実現する採用の在り方を追求している。

3月で内定率6割超え|中小企業の新卒採用が「解禁日」では遅い理由

「3月1日になったから、ナビサイトを開放して本格スタートしよう」。もし自社が今もこのスケジュールなら、少し厳しい現実をお伝えしなければなりません。今の新卒市場で3月開始は、勝負がついた後のグラウンドに駆け込むようなものです。なぜここまで早期化が進み、遅れると何が起きるのか。背景と実態を順に見ていきます。

インターンシップの「ルール変更」が早期化を招いたから

就職活動がこれほど前倒しになった背景には、インターンシップに関するルールと定義の変更があります。

かつては、インターンと称したイベントから直接内定を出すことは、建前として禁止されていました。ところがルールが変わり、一定の条件を満たしたインターンで得た学生情報を、企業が早期選考に直結させることが正式に認められたのです。

この変更にいち早く、しかも資本を投じて乗ったのが大手企業でした。夏のインターンで優秀な学生を囲い込み、秋から冬にかけてじっくり見極め、春を迎える前には内定または内々定を出し終える。そんなフローを完全に確立しています。制度が変わったことで、早期選考は「グレーな手法」から「王道の戦略」へと姿を変えました。これが早期化に拍車をかけた最大の要因です。

数字を見ても、早期化の勢いは明らかです。27卒学生の内定率は、広報解禁日であるはずの3月1日時点で内定率5割超、3月末には66%に達しました。世間で「採用が始まった」と言われる頃には、学生の6割以上がすでに就活を終えているか、内定を持って動いているのです。

(参考:【27卒採用】3月末時点の内々定率は「66%」―前年同期を下回るも高水準を維持。理系の伸び鈍化で市場に変化の兆しも

優秀な学生は3月時点で就活を終えているから

この現実を前に、3月から重い腰を上げる中小企業はどうなるでしょうか。答えは残念ながら、出会いたい学生にはほとんど届かない、です。

ナビサイトに高い掲載料を払い、合同説明会に出展しても、ブースを訪れる学生は年々減っているはずです。「最近、元気な学生が少ない」「エントリーが全然来ない」と感じているなら、それは自社に魅力がないからではありません。出会うべき優秀な学生は、すでに1年前の夏から大手の選考ルートに乗り、3月には就活を成功させてしまっているからです。

市場に残っているのは、選考に出遅れた一握りの学生か、内定を持ちつつ「もっといい会社はないか」と流している学生ばかり。この「残り香」のような市場で従来のやり方を続けても、採用の成功は極めて難しいと言わざるを得ません。

中小企業が新卒採用でやりがちな「3つの勘違い」

市場が激変しているのに、過去の延長線上で考えてしまう経営者や人事担当者は少なくありません。現場でお話ししていると、危うい思い込みに何度も出会います。ここでは特によく見かける3つの勘違いを取り上げ、それぞれがなぜ危険なのかを解きほぐしていきます。

勘違い①:中途採用がメインなら関係ないという逃げ

「新卒が厳しいのはわかった。でも、うちは昔から中途が主力だし、即戦力が欲しいから早期化は関係ない」。そうおっしゃる経営者は多いものです。しかし、本当に中途採用はこれまで通り採れているでしょうか。

現実には、中途市場での即戦力人材の奪い合いも、新卒以上に激化しています。少子高齢化が進むなかで、スキルを持った経験者の採用コストは高騰し続け、資金力のある大手に中小が勝つのは日ごとに難しくなっています。

ここで大きく変えたいのは、「採用で勝つ」という発想そのものです。これからは外から優秀な人を採ってくるのではなく、新卒のまっさらな人材を確保し、社内の「教育で勝つ」体制へ移行することが欠かせません。 リスキリングや研修開発に投資し、未経験からでも自社にマッチした人材を育てられる組織をつくる。その源泉として、新卒採用は避けて通れない道です。

勘違い②:「3月からでも間に合う」という思い込み

「5年前、10年前は3月から動いても良い子が採れた」。この成功体験が、組織の足を引っ張っているケースも数多くあります。

すでに触れたとおり、今の市場環境は5年前とはまるで別物です。当時はナビサイトが一斉にオープンする3月にまだ一定のエネルギーがありました。ところが今は、インターンを実施していなければ、そもそも土俵にすら上がれません。

過去の成功体験に縛られたまま「今年も例年通り3月から」と動くのは、変化を拒む言い訳に過ぎません。現場が「もっと早く動かないとまずい」と声を上げても、経営層が「まだ時間はある」と決裁を遅らせる。そんな歪みが、中小企業の採用力をじわじわと奪っています。

勘違い③:「戦っても勝てない」という諦め

「うちは認知度もないし、大手と同じ時期にインターンをやっても学生は来ない」。一見、身の丈をわきまえた冷静な判断に見えますが、厳しく言えば「不戦敗」を選んでいるのと変わりません。

学生は、大手か中小かという基準だけで会社を選ぶわけではありません。むしろ、早くから自分に向き合ってくれた企業や、早い段階で選択肢に入ってきた企業に愛着を持つのは自然な心理です。大手と戦わないために時期をずらす戦略は、結局「誰もいなくなった市場」でポツンと待つことにつながります。

土俵が違うからこそ、大手がやらないスピード感で、早期から学生と接点をつくりに行く。最初から諦めて土俵に上がらなければ、そこからは何も生まれません。

関連記事:採用で年収を上げても採れない理由とは?中小企業が採用競合に勝つための考え方

28卒で逆転する中小企業の「前倒し採用マーケティング」

「もう27卒は手遅れか」と絶望する必要はありません。大切なのは現実を直視し、次の採用に向けて今すぐ舵を切ることです。求人広告を出して待つ時代は終わり、これからは採用そのものをマーケティングとして設計する発想が問われます。

ここでは28卒で逆転するために、今すぐ着手したい2つのアクションを紹介します。

1日でも効果あり|「受け皿」としてのインターン設計

早期化の波に乗る絶対条件が、インターンシップの実施です。「見せられるような大層な業務がない」「何日も学生に付き合うリソースがない」と悩む必要はありません。

期間は1日、あるいは半日でも十分に効果があります。大事なのは業務を完璧に理解してもらうことではなく、「この会社の人たち、面白そうだ」「この経営者の考え方にワクワクする」という情緒的な魅力を感じてもらうことです。 具体的には、次のようなプログラムが有効です。

  • 経営者が直接登壇し、ビジネスの面白さを語るワークショップ
  • 若手社員の本音に触れられる、座談会形式の半日プログラム

こうした「中の人の魅力」や「熱量」がダイレクトに伝わる設計ができれば、大手のシステマチックなインターンにはない、中小ならではの武器になります。28卒向けのサマーインターン計画は、今この瞬間から動き出すべきです。

関連記事:カジュアル面談の正しい設計と進め方|形骸化させない運用のポイント

解禁日にエントリーを集める情報設計と導線づくり

採用をマーケティングとして捉えると、3月の情報解禁日の意味が変わります。それは「スタートの合図」ではなく、それまで仕込んできた施策の成果を回収する日になります。 解禁と同時にエントリー通知が鳴り響く状態を、事前につくっておかなければなりません。

そのために必要なのが、広報活動の徹底的な前倒しです。次の3ステップで整えていきます。

改善すべきステップ具体的な取り組み内容
魅力設計自社が学生に提供できる「本当の価値」(成長環境、裁量権、理念など)を言語化する
情報設計企業SNS、公式採用サイト、口コミサイトを、学生の目線に合わせて徹底的に整備する
応募導線インターンやSNSで接触した学生をLINE公式アカウントなどで繋ぎ止め、自社のリアルな温度感を伝え続ける

学生が3月1日を迎えたときには、すでに自社のファンになっていて、迷わずエントリーボタンを押す。そこまでの導線を裏側でどれだけきれいに引いておけるかが、勝負の分かれ目です。

まとめ|採用改革は会社の「教育」と「文化」をつくる

採用支援の現場で、経営者の皆さんと話しているうちに、いつも同じ答えに行き着きます。「結局、採用って会社づくりですよね」という一言です。

欠員が出たから埋める、3月になったからナビサイトに載せる。そうしたテクニック論やスケジュール対応の次元で採用を考えているうちは、優秀な人材との縁は結べません。採用とは本来、自社の未来を一緒に形づくる仲間集めだからです。

新卒採用の戦い方は、時代とともに大きく変わりました。それでも、熱量を持って自社の魅力を語り、学生と真摯に向き合うという本質は少しも変わっていません。

古い遅いスケジュールを手放し、前倒しのマーケティング戦略へ舵を切る。そして、採った人材を大切に育てる「教育」に投資する。その一歩こそが、10年後の会社に強い文化をもたらし、持続的な成長を支える土台になります。次の世代の仲間に出会うために、今すぐ動き出しましょう。

「うちの会社の場合、何から前倒しすればいい?」とお悩みの経営者・人事責任者様へ

激変する28卒・29卒の採用市場を勝ち抜くためには、自社に合わせた「魅力の再設計」と「早期の導線づくり」が不可欠です。

私たち「あたりまえリクルーティング」では、単なる求人媒体の提案ではなく、貴社の「会社づくり」に並走する採用マーケティングを支援しています。

  • 現在の採用スケジュールの健康診断
  • 学生に刺さるインターンシップのコンテンツ企画
  • SNSや採用サイトを活用した情報設計のご相談

まずは、貴社の採用の「リアルな課題」を私たちにお聞かせください。無料の個別相談会を随時実施しています。

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